ドイツ人からの学び

コロナ禍でのドイツ政府の対応(ドイツ人気質とは?)

2020年は本当にコロナの影響で通常と思っていた生活ができなくなってしまった年でした。国によって色々対策にばらつきが出て、改めてドイツ政府の対応というのは分かりやすく理にかなっている、筋が通っているなと感じました。きっとこれはドイツ人気質にも関係があるんだろうなとも感じました。そこで今日はコロナ禍でのドイツ政府の対応から感じたことをまとめてみました。

 

法律の大切さ=法律は遵守する

ドイツは法律が全てと言っても過言でないぐらい、法律の力が大きい国です。法律に書いてあれば必ず守らなければならないし、もし法律と違うことをしている場合、”法律違反”になると強く主張する人が大勢います。ここまで読んで法律を守ることは普通じゃない?と思った方もいるかと思いますが、本当でしょうか?

例えば日本は2019年4月から労働基準法のもと「有給休暇義義務化」が施行されています。簡単に言えば有給休暇を取ることは絶対であり、法律で決められています。(労働者からすれば守られた権利なのです)それでも日本は有給休暇消化率は一向に高くなる気配はないように感じます。いわゆる企業・労働者の双方で法律が守られていない現状があるのです。法律を遵守しているように見え、日本人だって遵守できていない項目だってあるのです。

同じような法律がドイツにもあり、ドイツでは最低年間20日、多くの企業では年間30日が有給休暇としてあてられています。そして本当に文字通り100%取得しています。もし取れない会社があるなら、従業員は黙っていません。当然の権利であるのにその権利が守られないことに対して正当な理由として抗議するからです。(ちなみに私が働くドイツ企業ももちろん100%の有給消化が義務付けられており、万が一できない場合には役員の承認を得て来年3月までに取れなかった分を消化するという制度があります。人事権も含め直属の上司の采配が大きくあるドイツ企業の組織の中で、役員の承認を得るぐらい大ごとになります。私の働く会社は従業員数4万人ほどなので、その役員の承認を得るのがいかに大変でそれなりの理由が必要であるかということは察していただけるかと)

有給休暇は一例でしかないですが、有給休暇1つを取ってもドイツ人は法律で決められたことは必ず遵守します(言い換えれば権利として主張します)

コロナの状況に話を戻すと、ドイツ政府がレストラン・カフェなどの飲食店、小売店(スーパー、ドラッグストアを除く)を閉めるロックダウンを決定すると本当にその通りどの小売店も政府の決定に従い、お店を閉店します。日本は法律でこのように政府が決定できる体制が整っていないそうですが、ドイツは政府を中心に統率が取れているんだなと感じました。

 

分かりやすく理にかなっている

コロナ禍のパンデミックではドイツ政府の決定が毎日の生活に及ぼす影響は大きく、今まで以上にドイツ政府の政策をより身近に感じる毎日です。ロックダウンに関しても人口10万人あたり50人以上の感染者が出ればロックダウンを決行する等と分かりやすい指数を用いています

ここにドイツ人の普段の考え方が現れるのかなとも思います。今回の政府も春にロックダウンを解除する際に、明確にロックダウンを解除する時期・数値を明確にしていました。それがこの”人口10万人あたり50人以上の感染者”です。もし今後人口10万人あたり50人以上の感染者が出ればロックダウンを再び行う。だから国民は皆気をつけてほしい・・・と呼びかけていたのです。そして今回、11月よりロックダウンが再び施行されてしまったのも以前挙げていた明確な理由・数値に該当したからでした。一部政府の制作に反対する人がデモをしていることも事実ですが、私の周りのドイツ人に聞いてみると政府は正当な理由・判断でロックダウンをしているんだから今回の政府に対してデモをしている人のことを冷たくみている人も大勢いるようです。

 

筋が通っている

ドイツ人が一番大切にしていると言っても良いではと思うことが、”筋が通っている”ということです。反対に言えば、筋が通っていればその場で対応を変えてくれる場合も多々あります。またこの”筋が通っている”については別の記事で書きたいと思うぐらいドイツ人の基本であると思うのでここで詳細な説明は省こうかと思いますが、今回のコロナの政府対応を見ても、どれも筋が通っているものばかりだと思います。

コロナは危険な感染症

人を介して感染するため(感染した人が増えた場合)人の行動を制限する必要がある

ロックダウンや国境封鎖

政府の決めたロックダウンによって働けなくなってしまった人には政府から保障が出る(2021年末まで保障されることが決まっています)

 

まとめ

日本とドイツではコロナによる感染者・死亡者など大きく異なる状況であることは確かです。それでもずっとドイツの政府の方が分かりやすく、理にかなっていて、筋がとっていることは明確です。またこのような数値があるが故なのか、ものすごく決定が早いことも事実です。

ドイツは連邦議会のため16の州首相がおり、メルケルさんはドイツ連邦共和国首相です。それぞれの州の状況は異なり16首相の意見をまとめるのはたやすくないと思いますが、コロナ禍の状況を見ても多くが水曜日に会合を開き、早ければその日の夜、遅くとも翌日にはドイツ連邦としての意見がまとまり、大体翌週から新しい政策が始まります。日本は47都道府県あり数は3倍ほどありますが、同じ16になったとしても同日に結論が決まるなんてことがあるのかと思ってしまいます。

コロナ禍でのドイツ政府の対応は、筋が通っている考え方のもと、理にかなっている対策だからこそまとまり、決定が早くまた国民も遵守するのではと感じました

日本人としてドイツ政府のあり方から学ぶことがたくさんあるなと思った日々でした。

 

 

来年はコロナの状況が落ち着いて、皆が過ごしたいと思える日々を過ごすことができますように。

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