ドイツ人の働く様子を見ていると大前提として、全てのことに”目的”を定め、いかに効率的に働くかと言うことを念頭に置いて働いている人が多いように見受けられます。
今日は顧客訪問・社内会議から考察してみたいと思います。日本人、ドイツ人に顧客訪問・社内会議の議題、進め方に違いなどあるのでしょうか?
目次
顧客にアポを取るときの日本人との違い
日本人としてドイツにあるドイツ企業で勤めて早5年になります。主に日本企業担当なので、相手が日本人の事もあれば、ドイツにある日本企業に勤めていらっしゃるドイツ人・もしくは他の国籍の方が主に関わる方ですが、アポをお願いするときの段取りも異なります。
日本人ですと、初めて訪問する場合「ご挨拶にお伺いしたいので御社に訪問したい」と言うと結構な割合でアポを取ることができます。また既存のお客様であっても「前回訪問してから半年・1年経過しているので昨今の状況をお聞かせいただきたいのでお時間を頂戴できないか」と言うとこちらも大抵OKをもらえることがほとんどです。
日本人の場合、初めから議題をお伝えするのではなく、訪問当日のその場で伝えます。人によっては”担当者”を信頼してもらうことが全てだと考えている方は訪問の8割以上はビジネスには関係ない話をして、人となりを知ってもらって最後の5-10分で実際のビジネスの話をして商談をまとめる。と言う同僚もいました。つまり顧客にとっては会って初めて担当者が聞きたかった本来の目的を知ることになります。
ご自身が担当者の場合には、質問にも答えられるでしょうが答えられなかった場合、再度その顧客とのやり取りが発生します。いい意味でコンタクトする理由が出来、コネクションが強くなる場合もあるとは思いますが、ドイツ人は全く別の考え方をします。
ドイツ人はアポをお願いする時に、予め議題を要求されることがほとんどです。なぜ訪問するのか、その時に確認・聞きたいことは何なのか事前に用意するよう催促されます。そしてドイツ人の方はその質問に100%答えられるよう準備をしておきます。と言うのは効率を求めるため、やり取りを最小限にするために初めから議題を聞いておいて、相手が聞きたいことの答えを用意しておきます。すると訪問後のやり取りも最小限に抑えられ、強いては残業時間が減る=早く帰宅して自分の自由時間をより長く確保できると言う訳です。
社内会議の議題と開催する意味
社内会議においても、議題を予め定めておきます。参加者は参加する前に必ずその資料に目を通し、準備をしておきます。そのため、参加者は疑問に思ったこと、意見したいことを予め用意してあるので能動的に会議に参加できます。反対に自分が発言しない会議は、自分には必要がないと意味づけるため、人によっては自分はこの会議に参加する意味を感じられないので参加しませんと開催者に事前に言う強者もいます。そこで開催者もちゃんとした理由があれば、説明・説得をしますが、不参加すると伝えてきた人の意見が一理あると思えば、納得しその人は不参加で開催します。
日本だと、会議が始まる直前に資料を印刷し、会議が始まってから本来事前に読むべきものを読む参加者がいると聞きました。ドイツでは通常そういったことは起こらず、そう言う人がいればその人は仕事の段取りがつけられない、仕事ができない人というイメージを持たれるため、その場で読むような参加者はまずいません。
この姿勢こそが、会議に参加する本来の姿である気がしていますし、参加者全員が資料を読んでいるからこそ活発な議論を展開することができ、また時間も短く済む=効率的な働き方ができるのだと思います。
また参加者は”必要”な人だけが予め選定されているため、日本人のように1日中会議で埋めつくされている人は上層部を除いて正直少ないです。というのも、会議というのは本来何かを議論・決定するために行われるものです。何か情報を共有することが目的であればそれは会議ではなく、メールでの伝達でも意味を為すからです。議論・決定する人というのはある程度地位の高い人が多く行うことであるため、一般社員の人が毎日のように会議の予定がいくつもあるというのは考えにくいです。そして一般社員というのは、本来別にやらなければならない業務があるはずです。本来業務に当てられる時間を不必要な会議に取られてしまっているから、残業しないと本来の仕事が終わらないという働き方になってしまっているのではないでしょうか。
会議の進め方(議題の隣に所要時間が書かれている)
会議の進め方としては、特段大きな違いは無いように思いますが議題の横に、所要時間が明記してある会議も多々あります。理由としては全員がその時間内に終わらせると言う共通認識を持たせるため、強いては不必要に時間を取られないためです。
基本的にドイツ人はあまり会議が好きではありません。と言うのは自分の本来の業務時間を取られるからです。そのため1日の中、もしくは週単位で業務の割り振りを考えて会議の時間、業務を出来なかったとしても終わらせるように考える人が多くいます。よって会議が延びれば延びるほどブーイングになることが多く、また開催者は時間が守れない、会議の進め方が下手だと言うレッテルを貼られてしまう場合・・・もあるようです。
まとめ
ドイツ人が効率を求めた働き方をしているのはよくご存知の方も多いと思いますが、こうして1つ1つ分けて考えるとなおさら理解していただけるのではと考えています。
なぜドイツ人がここまで効率を求めた働き方をするかどうかは、残業をしないためです。基本的にこちらは残業手当が無い会社が多いです。あったとしても、ドイツ人の意識としてお金をもらうよりも早く帰ることの方が重要だと思っているので、早く帰宅して自分の自由時間をより長く確保することに全神経を集中させている。と言っても過言では無いぐらい業務時間中は集中して働きますが、定められた業務時間を超えて働くことを本当に嫌います。
日本は残業時間が長い国、また効率がよく無い働き方をする国としても有名です。日本人の方の個々の優秀さは世界に引けを取らないと信じています。ただ効率が悪いために残業時間が長く、疲れ果ててしまっている印象が強いです。今日書いたことは1人で出来ることばかりではないかもしれません。でもまずは目的意識を持って働くようにすると、今まで参加していた不必要な会議に参加できなくてもいいかもしれませんし、事前準備をしっかりすることで会議の時間が短縮されるかもしれません。少しずつの積み重ねがやがて大きな変化になると信じています!
効率を求めるドイツ人の働き方が日本でも広く浸透しますように。