ドイツ人からの学び

ドイツ人が効率よく働ける理由 - 週の勤務時間から紐解く

2023年8月4日

ドイツ人は世界的に見ても”合理的”な民族であり、働き方は”効率を意識した働き方”をする国です。ドイツの会社に勤めてかれこれ9年(その内4年は東京で、直近の5年はドイツ本国での勤務)になろうとしています。日本にいた時も日系企業と比べるとドイツの働き方を感じていたものの、ドイツに来てからドイツの企業でドイツ人上司・同僚と働くことでよりドイツらしさを感じる毎日です。今日は効率的に働ける理由として「週の勤務時間」から書いてみようと思います。

 

週の勤務時間とは?

欧州では勤務する際に、週の勤務時間が契約書に明記されていることがほとんどです。あまり日本で感じることは少ないかもしれませんが、週40時間(1日8時間×5日)を設定している会社が多いように思えます。ちなみにドイツの隣のフランスでは、雇用を増加させるために週35時間制が導入されています。(1人あたり5時間減らすことによって通常7人で出来ていた仕事を8人で回すようにする、1人雇用を増やすという政策です)

日本で多く見られる1日8時間労働と週の勤務時間を設定することに違いがあるのかと思われる方も多いかもしれませんが、勤務時間を1日で区切るか、週5日で区切るかは実は大きな違いがあります。例えば月曜日から水曜日は仕事が忙しく、残業もしたので1日9時間勤務だったとします。木曜日は残業なしの8時間勤務。すると月曜日から木曜日の4日で(9時間×3日+8時間×1日)で35時間勤務しました。週40時間勤務することが義務付けられている職務の場合、金曜日は残りの5時間のみ働けば良いのです。9時から働いたとしたらランチなしで勤務するとすると14時に退社できることになります。日本人からすると、えっ?有給でもないのに14時に退社!?と驚かれる方も多いと思いますが、実際このような形で金曜日早く帰る同僚は多い(と言うか大半のドイツ人の金曜日の退社時間はものすごく早い)です。

 

そもそも勤務時間とは?

金曜日に14時で退社することができるドイツの働き方と日本人の働き方を比較すると、ありえない!と思うと思いますが、勤務時間とは言葉通り、勤務する時間ですよね。もちろん1日8時間ずっと絶え間なく集中することは大変難しいので、雑談やコーヒーを飲んでいる時間も含まれるとは思いますが、それらを含めて勤務時間だと思います。この”勤務時間”を守る体制を整えることがある種、企業・上司の職務だと考えられています。勤務時間中は、集中してやるべき仕事を遂行する時間であり、契約で定められている以上雇用者は働く義務があり、働くことによって対価である給料をもらっている。これに尽きると思います。

もちろん仕事の中には締め切りがタイトで残業が増える日(週)もあるでしょう。その場合、余分に働いたのだからそれは勤務超過の時間としてカウントされるべきであり、仕事が落ち着いたら早く帰る日があっても良い、むしろそうするべきだという意識がドイツ人の中には強くあります。というのも、毎週・毎月ずっと残業ばかりをしては作業効率が落ちるだけでなく、生産性は決して良い状況ではないということを理解しているからです。ドイツ人はその辺りよく分かっていて集中する時は集中してこなすけど、ちゃんと休み(休暇)を取るのはまた忙しくなった時に最高のパフォーマンスで臨むためにも必要だと合理的に考えるのです。そしてそもそも、週40時間と決められているんだから、余分に働くのはある意味契約違反と考えるドイツ人も少なくありません。(仕事が忙しくなってとてもじゃないけど週40時間でこなせない量になった場合には、人を増やす、もしくは他部署に一部の業務を委託する等、交渉材料として上司に直談判します)

言わずもがなですが勤務時間にちゃんと勤務していない場合は、上司や雇用主である会社は従業員に対して態度を改めるよう注意することができ、それが守られない場合最悪のケースは契約違反という理由で、解雇ということもあり得るのです。ただこれは極論に過ぎず、ちゃんと仕事をしていればドイツの場合は従業員が守られ、労働組合も力が強いため解雇というのは現実難しいようです。(もちろんちゃんと仕事をしていれば・・・という場合です)これについては日本と比べドイツでは労働に関する法律・制度が整っていること、また職務内容が明確なことも大きいと思います。こちらについては後日書くようにします。

 

残業代は基本なし

ドイツには基本的に残業代がありません。というのも、週の勤務時間が定められていてそれに則った形で雇用契約が結ばられるからです。週の勤務時間が40時間で、あなたの職務は○○で、その対価として給料が定められます。ドイツは契約社会のため、内容に双方が納得して始めてサイン=契約になります。よって週40時間働いた対価の給料が決まっているので、それ以上(基本的には)働く必要がなく、余分に働いた分の対価を払うとも企業が言っていない以上、それは完全な従業員のサービス(ボランティア)になります。ただ日本と違うのが、上司・雇用者である企業は余分に働くことを強制することも出来ないのです。よって超過した勤務時間というのは金曜日に早帰りすることであったり、会社によっては月単位で管理している会社も多いので例えば1日有給消化のような形で超過した勤務時間を休みに充てる人も多くいます(この辺りは会社によってまちまちで、残業代として払う企業もあります)。ただでさえ年間30日100%の有給休暇を取るドイツ人は世界でも休暇を多く取る国民として知られているのに、残業代の代わりに有給として取ることができるためますますドイツ人の休暇日数は増えていく一方です。

 

まとめ

ドイツ人が合理的に働けるのは、雇用契約に沿った働き方をしているから勤務時間は集中して働き、早く帰ることを常に念頭に置いている。何より自分・家族の時間を大切にする国民性にも由来しているが、そもそも定められた勤務時間は勤務する時間であり、集中して仕事をこなすことが求められている。しかし定められた勤務時間以上働くのは契約違反であり、上司も強要できない

日本も制度としては勤務時間は個々に定められていると思うので、個人的にはドイツのように定められた勤務時間に沿った勤務体系になることを強く願っています!

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