日本でドイツ企業に勤めて4年、ドイツに駐在になり同じドイツ企業で働き出してから5年経ちました(細かく言うと1年産休を取っているので日本もドイツも4年ずつ計8年働いています)。
そんな私がドイツに来て働いて思ったこと。
ドイツ人のメールのccに入っている人数が日本人のメールと比べ、ものすごく少ない!!
日本企業の方からいただくメールを見ると、ほぼccに誰も入っていないメールは珍しく、私がいただくメールを見ても、ドイツで日本企業に勤めている主人のメールを見てもccに入っている人数は3-5人は平均的かと。多い場合には8-10人近くになるメールも見たことがあって、もうびっくり。
私やドイツ人同僚のメールを見てみると、大前提として、上司はほぼccは入れない。ccは0人か、入れても一緒にチームとして働いている同僚の1-2人のみ。
ん??なぜ?と思った方、ぜひ読み進めてください!考え方・働き方の違いがあります。
まず第一に働き方で異なる部分があります。詳細は後日書く予定の「ドイツ人が効率よく働ける理由 - job description (職務内容)から紐解く」で説明していく予定ですが、今回はメールのccに絞って説明していきます。
先ほどのメールのccほぼ上司は入れない理由というのが、
- 上司に報告する義務がある時には、上司宛てに送るのでccではなく、Toになる。
→どう言うことかと言うと、
ドイツの場合、基本的に上司に途中経過は伝えない。上司には結果を伝えるのみ。よって何か伝える際には、要約した結果をメールすることになるので、今までのメールを送ることはなく、新規のメールとしてToになる。
ccが多いメールは、書いている人にとっては情報を共有しているつもりかもしれないけど、読み手は必ずしもその案件に完全に関わっていないと、すぐに理解出来ない場合もが多々あります。でもccに入っている限り受け取った人は読まなきゃいけない。するとccに入っている人は必ずしも必要でないこと(例えば進捗状況や途中経過等)を知るために時間が取られる。しかもccに入っている人は上司の場合も多くあると思います。上司は部下全員からこのようなメールを毎日何十、何百ともらっていれば本来の「決断する」という仕事に辿り着く、または終わるわけがありません。いつまで経っても決断できず、日本人の働き方は効率が悪いと思われてしまう理由の1つなのかなと感じます。読んでいる方の中には、入れたくなくても上司や先輩にccを入れるように言われる場合もあるかと思います。残念ながら上司や先輩の考え方、働き方をすぐに変える事はできません。でも貴方が先輩・上司の立場になったらぜひやり方を変えてください!!それではもう1つの理由について説明しますね。
もう1つの理由とは、日本企業は上司・同僚・部下の信頼関係が希薄で、上司はいかに部下を管理することを念頭に置いた働き方になっている企業・部署が多いように見受けられることです。
正直私は日本でもアメリカやドイツ企業でしか働いたことがなく、日本企業での勤務経験がないため一概には言えないけど、日本の働きかたの弊害として、上司・同僚・部下の信頼関係が希薄だなと感じました。反対にドイツに来て強く感じたのが、(ドイツ人にも様々なタイプが存在するけど、私の上司の場合)まず第一に同僚・部下を信じているなと感じたことです。私の上司は管理することをとても嫌います。それは会社の組織の中で上司と部下という関係ではあるけど、必ずしも人生経験を含め人として上という概念がない、持つべきじゃないと思っているからのようです。組織上では部下ですし、経験が少ないことがほとんどでしょう。でも部下だって大人です。ちゃんと仕事をするために会社に来ているし、やるべき仕事はやらなきゃいけないので任せてもらえればこなし、上司に信頼してもらっていると思うからこそ、余計に失敗できない、頑張ろうという気になるのではと思います。
日本には「報・連・相」の文化が根付いていると聞きます。報告も連絡も相談もみんな大切なことだけど、その頻度が多すぎるために、
- 本来すべきことがおざなりになり
- 業務時間が増え(会社にとってコスト!であると同時に働く人にとっても会社での拘束時間が増えいい事なし)
- 決断が遅いというレッテル!! を世界の人に貼られているのではと思います。(様々な国の人達と仕事すると、大多数の方は日本人は優秀だけど細かくて決断が遅いと認識している人が多数です)
個人的にも日本人はものすごく優秀だと思うのに、なぜGDPは人口の少ないドイツ(ドイツは約8000万人、日本の3分の2です)より低いのでしょうか。
ドイツは共働き家庭が多く、就業人口が違うかもしれません、今日のテーマでもあるメールのccもその1つの要因だと思うのです。たかが1通のメールでしょう。でも毎日何十、何百、何千とメールをする方もいるでしょう。メール1通読むのに3分かかるとして、必要のないメールを減らすことができればいかに効率よく仕事できるか分かっていただけたと思います。
すぐに変えることは難しくても共感してくださる人が1人、2人と増えていけば必ず変わると思います。
ドイツは日本のように残業時間が多くありません。有給休暇は最低でも年間の有給が20日、多くの企業は30日です。私も毎年30日きっちり休みを取っています(取らないと本当に上司から叱られます)。日本も働き方改革と称し、取り組みをしようとしている今、メール1つかもしれませんがこれも立派な働き方改革の1つではと思います。ぜひ今日から意識を変えてみてください。そしていつか貴方が先輩・上司の立場になった時に、同僚や部下を信頼し、ccを入れなくていいよ、問題が発生した時や結果だけ報告してね。と言えるような部署、雰囲気の中で働くことができることを心より願っています。
今日はだいぶ長文になってしまいましたが、お付き合いいただき、最後まで読んでいただいて本当に本当にありがとうございました!!