日本企業に勤める家族や友人、メディアからの情報だと日本企業はものすごく会議が多いように見えます。現在はドイツにあるドイツ企業で働いているのですが、一般社員で朝から夕方まで会議でいっぱいなんて人は聞いたことありません。でも家族や友人の話からすると、1日の中でも数回、毎日のように何かしら会議があるようです。ドイツ人・日本人の中で会議に対しての定義や考え方について違いがあると思い、今日はドイツ人が効率よく働いている理由を会議の”目的と失われるもの”から書いてみたいと思います。
目次
会議の目的・結論から考える
ドイツ人は働くということにおいては、良くも悪くも本当に効率を求める方が多い人が多いと思います。その結果、会議をするということについても定例だからとか、今までずっとやってきているからというのは全く理由になりません。なぜ会議をやる必要があるのかという目的が明確になっていないためです。
現在私が所属している部署は15人ほどの同僚と上司が集まる会議が週1回あります。そのうち月の3回は30分ほどで、目的としては伝達です。伝達ならメールで済むのですがやはり週に1回ぐらいは皆で顔を合わせて話そうという目的もあります。(というのも私たちの部署は部屋が別れており、ほとんどの人が二人部屋になります。よって1週間全く話をしない、顔を合わせてなかった・・ということもあるので週に1回ぐらいは顔を合わせようという目的もあります)基本的に一人一人今週何か今までにない新しい案件を担当しているとか、皆で共有した方がいいと思うことを一言話すのみです。その後上司が伝達事項があれば伝えるし、他部署の人が混じって一言二言新しい情報を聞くということはあっても基本的に共有して終わりです。皆が早く終わるためにこの30分の会議は立って行います。長時間立っているのは疲れるし、早く終わらせることを常に考えているからです。
第2週目は2時間の長い会議になります。ここでは部署の問題点や会社組織の新しい戦略や今後の目標などが話し合われることが多く、必ず議題が用意されます。社内会議の議題については以前の記事で書いているのでこちらも読んでみてくださいね!
つまり小さな会議であっても必ず目的があり、その目的のために参加しています。基本的に全員どこかしらで発言することがほとんどですし、そもそも会議の内容にそぐわない人や部署は招待されません。出席するということは必ず意味があるから参加しているのであって、参加して有益な情報が得られなかったという会議も中にはあるでしょうが、基本的には参加する目的があって終わる頃にはその目的が達成しているのです。
(コロナの感染拡大が止まらない欧州・ドイツでは州のトップと国のトップであるメルケル首相がドイツ国内のコロナ対策について話し合っています。経済を優先すべきだという州政府の声も多く、また州によって状況も異なるので結論を導くのは容易いことではないと思います。それでもすごいなと思うのが、水曜日にその会議が行われると必ず翌日には結論が出て早ければ木曜日当日もしくは来週月曜日から新しい政策で動き始めるのです。数時間で話し合い、結論を翌日発表できるまでに完成させられるのは参加する人が共有の目的意識を持っているからだと言えると思います)
反対にその会議の目的が自分には必要ないと思うものであれば、遠慮なくそれを伝えます。会議に招待した方も、確かにこの人は必要なかったということであれば参加依頼を取り消しますし、必要だということであれば相手が納得するまで話し合います。だからこそ参加する人は目的を持って、結論を導くために参加するのだということが念頭にあります。すると議論が活発になるだけでなく皆当事者意識を持って会議に臨めます。皆が真剣に自分の問題だと捉えるからこそ早く結論に結びつくのではないかと考えています。
会議をして得られるもの・失われる時間
以前の記事(ドイツ人は顧客訪問・社内会議にも議題を求める)でも書きましたが、ドイツ人はとにかく就業時間は働くけれどそれ以外は自分の自由時間であり、その時間まで働きたくない!というのが根底にものすごーく強くあると日々感じます。よって会議に参加して有意義だった、新しい発見があったという時は良いのですが、無意味な会議を提案した、会議を主催した目的はよかったのに中身が酷かったという場合は不機嫌になる人が本当に多いです。。。そもそも「会議=自分の仕事の時間を奪う」という方程式を持つ人がドイツ人の中に多いからです。
考えてもみてください。確かに会議に参加していればそれは立派な仕事の時間です。
でも会議に参加したからと言って自分の仕事は減りますか?午前中ずっと会議に出席していたからってメールの数は減らないですし、そもそもやるべき仕事の量は誰も減らしてくれないですよね?会議に出席した分、どこかで穴埋めが必要になり、ほとんどの場合それは残業という形になります。そこかミソなのです。
日本人は「会議=言われたから出席するもので、出席することが大切」と思っている人が多いように感じます。会議が大切じゃないなんて言うつもりは到底ありません。ただどこかで会議に多く参加することがいいこと、会議に参加しているだけで仕事をしていると思っている人はいませんか?と問いたいのです。
残念ながら会議に参加するだけでは仕事をしているとは言えないと思うのです。聴講するセミナーだって何か得るための目的があって、聴くだけで目的達成なわけではなく、聴いたことを仕事に生かして初めて目的が達成されるんですよね?会議も目的があり、その目的が達成されて初めて意味を成します。よって自分に必要のない会議なら参加せず、本来の自分の仕事をこなした方がよっぽど会社、強いては顧客のためです。会議に参加することで自分の本来の仕事をする時間を減らしてまで(残業してまで)会議に参加する意味があるのか、参加する目的は何だろうと再確認してみてください。
まとめ
会議の目的を確認することでそもそも自分に必要な会議なのか、本来の仕事をこなしていた方が無駄な残業をするのではなく、会社・顧客(ステークホルダー)のためになるのではないかということを再度確認して欲しいと思います。
日本企業は会議が多すぎるからこそ、残業しなければ本来の仕事が回らなくなってしまっているのです。
安易に参加している会議が自分の時間、リラックスする時間、家族と過ごす時間、睡眠時間等の減少を生み、残業時間を増やし、作業効率を低下させている原因ではないでしょうか?1週間に2時間かもしれません。でもその2時間早く帰宅することができ、自分の好きな時間を過ごせると思ったら、嬉しいですよね?
ぜひ会議を主催・参加することについて今一度その”目的と失われるもの”について焦点を当てて考えてみてください。